スクラムはロールプレイングゲーム!?『スクラムガイド』でルールを覚えて、Let’s game!
こんにちは。たむら@認定スクラムマスター です。
今回は、先日社内で開発に関わる事業部側メンバー(ノンエンジニア)に向けてスクラムガイドの紹介を行ったので、そのことについて書こうと思います。
イントロ
さて、弊社では前TechBlogにも書いた通りアジャイル開発(スクラム)に取り組んでいます。
世間を見回しても最早全く珍しいものではなくなりましたよね!
がっ、しかし!
そのバイブルとも言える『スクラムガイド』をいったいどれ位の人が読んでおり、且つ内容を理解しているのだろうか?とふと気になりスクラムで開発している社内チームメンバーに確認したところ、エンジニアでは半分くらい、ノンエンジニアでは9割近くは読んだことがないという結果となってしまいました。こ、これはヒドイ・・・。
とはいえ、スクラムはやっていても読んだことがあるって人は実は他社でも結構少ないのではないか?と思えます。また、読んでいたとしてもその内容をどこ迄理解して実践できているでしょうか?
これを社内から少しでも払しょくするために実施したのが、スクラムガイドのダイジェスト紹介です。
ここでは、その紹介で話したスクラムガイドの一番大事な部分をズバっと紹介します。最後に使ったスライドも共有しています。
これらをしっかり押さえれば実施しているスクラムの価値が今より向上することは間違いない筈です!
スクラムガイドとは?
まずはスクラムガイド そのものを知らない方の為に3行で簡単な紹介です。
- アジャイルソフトウェア開発宣言 にも名を連ね、スクラムの構築に関わった Ken Schwaber と Jeff Sutherland がまとめたものです
- 全18ページ! 目次や謝辞を除けば、実質10ページ強しかない超軽量の『スクラムの公式ガイド』です。
- 日本語訳も用意されています。また定期的にブラッシュアップの更新が入っています。(2023時点の最新版は2020年11月版)
で、スクラムガイドの一番大事な観点
『スクラムはゲームとして取り組め』
これに尽きます。
全然意味が分からないと思うので、順を追って説明します。
前提
まず、スクラムとは何か?というと、『スクラムは業務を楽しく成果高くするためのゲーム』なのです。これ大前提です。
で、ゲームというものには必ずルールがあります。単純な鬼ごっこやババ抜きといったものですらルールがあります。参加者はルールを理解し、順守しないとゲームは成り立たないし面白くなりません。つまりスクラムというゲームも、そのルールを知らずには価値(楽しい、成果が高い)を体感することはできない筈なのです。
では、スクラムのルールは何か?というと、それがまさに『スクラムガイド』になる訳です。
「いい加減な解釈してんじゃない?」って思いますか?
いいえ、『スクラムガイド』でも表紙にしっかり「ゲーム」と謳っていたりします。
では、ゲームとして取組むとはどういうことか?
スクラムガイドでは「スクラムの3本柱」や「スクラムの価値基準」というものが記載されています。
スクラムの3本柱
- 透明性
- すべての情報を可視化する。関係者が誤解なく認知できている
- 検査
- 頻繁に状況をチェックできている。(透明性があってはじめて可能)
- 適応
- よりあるべき形にするための改善であり、調整。(透明性と検査があってはじめて可能)
スクラムの価値基準
- 確約
- ゴールを達成する。達成のためにお互いサポートする
- 集中
- ゴールに集中する
- 公開
- すべての情報を公開する
- 尊敬
- チームのメンバーを尊敬し合う
- 勇気
- 正しいことを行う勇気を持つ
スクラムの3本柱は字面を見るに、経験主義とリーン思考を実現するために必要なことだと分かりますし、価値基準に関しても「そうだよね、どれも大事だよね」とすぐ感じることができることでしょう。マインドセットとして大事だなと。
ところがそうでは無いのです。
ここで記載されているものは「ルール」なのです。なので心構えでも努力目標でもありません。スクラムに携わる人は皆必ずこの3本柱を実現し、その実現の為にスクラムの価値基準に準じた行動をとらなければならないのです。
例えば『人狼』というゲームがあります。人狼陣営と人間陣営が知恵とブラフを用いて相手を淘汰するゲームですが、人狼役は毎晩人を食べることになります。この時「私、道徳的に人なんか食べたくないわ」という人がいるでしょうか?その人が生来どんな人間かはともかく、ゲームをするなら人狼役は人を食べなければならないのは当たり前に理解できることだと思います。
同じことが、スクラムにも言えます。スクラムの価値基準を素で体現できている人は聖人君子的な要素があると思いますが、そんな人間に生まれ変われと言っている訳ではありません。あくまでスクラムというゲームをするならばその価値基準を持ったプレイヤーを演じるべし、ということなのです。これをしっかり理解できていることがスクラムがうまく行くか行かないかの成否を分ける一番大きな部分だと私は思っています。決して3-5-3のスクラムのフレームワークを忠実に行うことがスクラムの実践ではないのです。
余談ですが、ソフトウェア開発の用語も「要件定義」とか「詳細設計」とか一般的な単語的な表現をしているので、ともすればソフトウェア開発を知らない人でも、「要件を定義するんだな」とか「詳細に設計するんだな」と理解できた気持ちになってしまいますが、エンジニアならご存じの通り、これらはある程度明確に行うことが定義された専門的な固有用語だったりします。スクラムの3本柱や価値基準も同様で、「何となく理解できる言葉」で紡がれているため誤解をしやすいところなのではないかと感じます。
まとめ
お分かりいただけたでしょうか?
あなたがスクラムで開発をする際、「スプリントバックログでよく分からない要件があるけどまぁ作れるから意図は知らなくていいか」(透明性の欠如)とか「チームメイトの〇〇は指摘が細かくて嫌いだ」(尊敬の欠如)とか思っているようならそれはスクラムのルールを守れていないことになります。
せっかく『業務を楽しく成果高くするためのゲーム』をしているならば、しっかりルールに乗ったプレイヤーを演じ、その面白さを体感してみませんか?スクラムガイドを未読の方は何はともあれまず読んでみて下さい。そしてそのルールをしっかり理解できたならば、きっとその絶大な価値を実感できると思います。
最後に 藤田和日郎氏の名作「からくりサーカス」のギイ・クリストフ・レッシュの登場シーンより一言
『この世は舞台なり、誰もがそこでは一役、演じなくてはならぬ』
使った資料
※ ラクーングループでは一緒に一役演じてくれる仲間を大大大募集中です!