社内タイピング練習サイトを研修中に1日で作った話
「現代の魔法」を使えば、新入社員でも限られた時間でニーズを満たすプロダクトは作れる!
📚 この記事を読んで得られること
- 1日で動くプロダクトを作るためには
- 最小構成で社内ニーズを満たす「MVP」の作り方
- 研修中でも“実際に使われるもの”を作るコツ
1. はじめに
はじめまして。新入社員のSです!
突然ですが、弊社では入社時に「200文字程度の文章を4分以内にタイピングする」というテストがあります。
これは、エンジニアにとっては比較的クリアしやすい課題ですが、PC操作に慣れていない同期にとっては少し高いハードルでした。
その練習として、会社からは200文字前後の文章が書かれたWordファイルが複数配布されていました。
ですが、配布されたファイルで練習するために:
- 問題ごとにWordファイルを開き、
- スマホでストップウォッチを立ち上げ、
- タイピング練習を開始し、
- 終わったら目視で間違いを確認し、
- ストップウォッチを止め、次のファイルへ…
時間をかけるべきは「タイピングの練習」なのに、それ以外に手間がかかっていた。
研修の合間に「これ、どうにかできないかな~」と思い、タイピング練習サイトを作ることにしました。
2. 仕様をどう決めたか:ユーザー=自分たち
最低限必要な仕様は明らかでした。
- 200文字程度の問題文を表示
- タイマーで4分カウント
- ミスタイプの検出
- 問題文を切り替えられるUI
課題が明確だったので、「これさえ満たせばOK」という最小構成をすぐに決めることができました。
3. 1日で作るための技術戦略:「現代の魔法」を使い倒す
目標は「1日でのリリース」。そのため、サーバーサイドの実装は避けたいと考えました。
技術選定
- 構成: HTML / CSS / JavaScript のみ
- ホスティング: GitHub Pages
この構成ならサーバー構築は不要で、ブラウザだけで完結します。これは高速リリースに最適な選択でした。
AIとのペアプログラミング
ここからが「現代の魔法」の出番です。GitHub Copilot と GPT-4o/4.1 を相棒に、開発を始めました。
最初のバージョンはわずか数分で完成しました。
ちなみに、私がGPT-4oに投げた最初のプロンプトは、以下のような非常にシンプルなものです。
タイピングテストのWebサイトを作成してほしい
html/css,javascript のみ
オフラインでも利用できるようにローカルで動作
問題文はlist.txtファイルから読み込み
一つのtxtファイルに複数問題が入っている
問題の区切りは改行二回
問題文を切り替えるボタンを左上に設置
タイマーを付属
デフォルトは4分のタイマー
ユーザーは時間を変更できる
問題文と入力された文字列が一致したらクリア
文字が入力される度に判定し、問題文と違うところを赤色で強調
タイマーストップ後、合っている部分の文字数を計算し、何文字分クリアしたかを表示
これだけでタイピングゲームの基本的な骨格となるコードが手に入ります。あとは細かい仕様を対話形式で伝えていくだけで、みるみるうちに形になっていき、1、2時間ほどで目的のものが完成しました。見た目は非常に質素でしたが、同期が抱えていた課題を解決するには十分なものでした。
初期版のスクリーンショット
4. 詰まったところ
詰まったところは特にありませんでした。
明確な課題 × シンプルな構成 × AIの助け = スムーズに開発できました。
5. 完成して分かったこと
✔ 「とりあえず動く」を1日で作るコツ
「課題を見つける力」これが大事だと思っています。
課題が明白になれば、あとはAIが理解できるように整理して指示を出すだけ。
プロンプトエンジニアリングが重要になりますが、趣旨とは外れるためここでは割愛します。
✔ 利用者からの反応
- 「練習がしやすくなった」「めっちゃ便利!」という声を多数もらえた
- ユーザー = 同期なので、その場ですぐフィードバックをもらえて改善にもつながった
✔ 視点の変化
- 「現状を当たり前と思わない姿勢」
- ユーザー自身も気づいていない不満を拾えると、価値あるプロダクトにつながる
6. 気軽にフィードバックできる関係性を築く
プロダクト開発において、フィードバックを素直に受け入れ、改善に繋げる姿勢は信頼の源です。信頼を得られると、「もっとこうしたら良いかも」という質の高いアイデアが自然と集まってきます。
ここで同期から貰った様々なアイデアが改良版へと繋がりました。
7. UI/UXを改善したバージョンの開発
フィードバックを元に、遊び心とわかりやすさをプラス。
🌟 改善点
- 進捗・入力速度などをリアルタイムに可視化
- スペースを「␣」として可視化
- 正しい入力時にエフェクトが出る
- 残り時間が少なくなると爆弾が点滅 → タイムオーバーで爆発!💥
- 「問題文を覚えてしまう」問題に対処するため、AIによる自動作問機能を追加
- Gemini APIを利用し、「200文字前後の一般常識についての文章を生成して」とリクエストを投げる仕組みです。生成された文章が指定した文字数(175〜220文字)の範囲外だった場合は再生成するなど、練習に適した文章になるよう工夫しました。
改良版のスクリーンショット
✅ まとめ:たった1日でも“意味ある開発”はできる!
- 課題が明確なら、AIを使って短時間で価値あるプロダクトを作れる!
- 新卒ならではの視点を大切にする!
- 気軽にフィードバックできる関係を築く!
エンジニアとして「作る力」を爆速で身につけたい方へ!
ラクーンは新卒でもやりたいことがあれば、それを応援してくれるとてもいい環境です!
もしこの記事を読んで、「自分ならもっと面白くできそう!」と思った方がいれば、ぜひラクーンにお越しください!