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「プロジェクトリーダーとして9つの大切なこと」をピクミンから学ぶ

こんにちは!ラクーンテーブルゲーム会の部長をしている下田です。

ラクーングループではサークル活動を積極的に行っていて、ゲーム系のサークルは特に活発に活動しています。ゲームで遊んでいると、いろんなノウハウがたくさん詰め込まれているなあと思うことがあります。

任天堂のピクミン 3 デラックス等のピクミンシリーズは私の好きなゲームの一つです。ピクミンは会社経営に通ずるといった話がありますが、今回改めてプロジェクトマネジメントに当てはめて、リーダーに求められていることを考えてみました。何がリーダーに必要なのか考えながらピクミンシリーズを遊ぶと、ひょっとしたらリーダーとして成長するのではないかと思い立ちました。

今回はピクミンシリーズに秘められている、プロジェクトリーダーに求められる大切なことを解説していきたいと思います。

注意!ゲームと現実は違います

当たり前ですが、ゲームはゲームです。ゲームのピクミンは使い捨てされる場合がありますが、現実のチームメンバーの人権は尊重しなければなりません。チームメンバーをピクミンのように扱ってはなりません。

また、ピクミンは必ず指示通りに動きますが、現実ではミスコミュニケーションが発生します。ピクミンではコミュニケーションスキルは学べませんので、現実のリーダー業務とは異なるものです。もしうまく伝えることができなかったとしたら、それはリーダーのミスによるものです。リーダーとしてのコミュニケーションスキルはデール・カーネギーの「人を動かす」に詳しいので、こちらもぜひ読んでみてください。

ピクミンとは

宇宙飛行士の主人公が乗る宇宙船が故障し、ピクミンの住む未開の惑星に不時着してしまいます。未開の惑星を開拓し、宇宙船の修理することを目的としたゲームです。

主人公は無力で何もできません。ピクミンは高い能力を持っていますが、主体的な行動はできません。そこで主人公がリーダーとしてピクミンを指揮して強力なチームを作り上げます。

1. メンバーの方が圧倒的に優秀

未開の惑星には主人公やピクミンを襲う凶悪な原生生物が住んでいます。主人公はどう頑張っても原生生物に太刀打ちできませんが、ピクミンは適切な行動を取りさえすれば最強の原生生物に一対一で勝つことができるポテンシャルを持っています。主人公は無力ですが、ピクミンはとても優秀です。戦うほかにも、橋を建設する、重い荷物を運ぶ、トンネルを掘るといったタスクを軽々こなします。

現実も似たところがあり、適したタスクに割り当てるとリーダーよりメンバーのほうが生産性が高い場合が多いです。リーダーとなった場合、メンバーの優れているところを探し出し、得意な仕事を任せるとうまくいきます。

2. ミッションに対してタスクを設定し、タスクのゴールを明確にする

「宇宙船を修理する」というミッションは、リーダーが決めるものです。ゲームを遊ぶ人によっては、いかに短い時間で達成できるかどうか競ったり、隠されたアイテムを集めたり、提示されたものとは異なる目標をミッションとして決めることもあります。

ピクミンたちは主体的に考えられないので、ミッションだけでは行動に移せません。そこでリーダーは、ミッションをピクミンが理解できるように分解してから指示を出します。あるピクミンには橋を作る、別のピクミンには荷物を運ぶというふうに、明確なタスクにしてから、メンバー個別に担当を割り当てていきます。タスクが明確になっていないと、ピクミンはダメージを受けます。例えば荷物を運ぶタスクで、運ぶルートをリーダーが曖昧なまましてしまうと、輸送中に不慮の事故にあってしまう場合があります。

ピクミンはまったくミッション自体を理解してくれませんが、現実では理解してくれるメンバーは大勢います。タスクの割り当てのみでなく、ミッションも理解してもらえるように努めましょう。

一方で、説明したミッションから意図した通りのタスクを導き出して自分で動いてくれる野生のリーダーのようなメンバーもいます。そうだとしても、この「タスクの割り当て」という仕事がリーダーの責任であることは変わりません。自律的に動いてくれるメンバーに対して自身で導き出したタスクを任せた責任を持ち、そうではない場合は明確にタスクを割り当てる責任があります。タスクがなくなったときに何もしない場合は、リーダーに責任がありメンバーが悪いわけではないことを、極端に指示待ちするピクミンを通じて学べます。

3. タスクを理解したら、自律的に行動する

リーダーが適切にタスクを割り当てたら、もうそのタスクはリーダーの仕事ではありません。ピクミンが自律的に行動して、自分たちで考えてタスクを達成します。

このとき、ピクミンたちは最大限に努力し、持てる力で最高の結果を出してくれます。メンバーを信じて、タスク完了を待ちましょう。

4.個性がある

ピクミンには赤ピクミン、青ピクミンなど、種類があります。赤ピクミンは熱に強く炎の中でも生き延びることができますが、泳げないので水に入ると溺れます。青ピクミンは反対で、熱には弱く、泳げます。

人間も同様で個性があり、得意不得意があります。得意なことを把握して、長所を活かすようにします。

5.予定通りに行かないことがある

タスクを明確にし、得意な作業を割り当てたとしても、不慮の事態は必ず発生します。当然リーダーは完璧ではないので、想定していないことが起きます。

不慮の事態は発生することを前提に、余裕を持っておくことが大事です。例えば食料が今日の分のみになってから焦るのではなく、必ず7日分はキープするようにしたり、想定通りに進まなかったときに代わりの方針に切りかえるプランBを用意したり、安全な場所でピクミンを待機させたりします。

また、余裕のとり方にも工夫の余地があります。安全な場所でピクミンを待機させる場合に、ただ待つのではなく花の蜜を吸って成長するなど、余裕を持って行える作業を任せるとよいです。

また、不慮の事態が発生していないか定期的に様子を見にいきましょう。

6. 優先度を決める

「宇宙船を修理する」という最終目標となるミッションを達成しようとしますが、そのためにやらなければならないことがいくつかあります。「食料を確保する」「探索して修理に必要なものを拾う」「チームメンバーを増やす」「道を作って移動しやすくする」「害がある原生生物を排除する」といった複数の目標があります。これらは最終目標より細かい粒度ですが、まだピクミンには理解しきれない大きさです。チームが達成できるタスクの量には限りがあるので、どの目標に注力するかリーダーが優先度を決めます。

もし食料がなくなるとゲームオーバーとなってしまいます。なので食料が不足していたら最優先で食料を確保します。最優先だからといって、イソップ童話の「木こりと旅人」のように非効率に行動してしまうと、更に自分の首を締めてしまうことになります。食料が不足している状況においては、1番に「食料を確保する」、次点に「チームメンバーを増やす」「道を作って移動しやすくする」等の目標に優先度をつけます。

食料は多ければ多いほどよいわけではなく、十分な量が確保できていれば大丈夫です。その場合は「探索して修理に必要なものを拾う」といった最終目標に対して直接アプローチできることの優先度を上げます。

このように、取り掛かる仕事の優先度は状況に応じて変わります。この優先度の決定はプロジェクトの成果に関わる仕事で、リーダーの重要な役割です。非常に難しい仕事で、誰も明確な答えは持っておらず、事後に振り返っても正解だったかどうかわからない場合があります。プロジェクトの成果として結果だけが残ります。ゲームでは同じ状況を再現することが可能なので、優先度の決定を比較して評価するという稀な経験をすることができます。

7.チームで行動すると大きな成果を得られる

ピクミンは1人だと小さく、重い宇宙船のパーツを運ぶことはできません。1人で運べないものも、10人で取りかかれば運べます。人数を揃えると、達成できなかったことが達成できたり、早く完了できるようになる場合があります。

ただし、1つのタスクに大きなチームを割り当てることが適切ではない場合もあります。10人で行える宇宙船のパーツを運ぶ作業は20人までしか割り当てることができません。また、10人割り当てた場合と20人割り当てた場合では、人数は2倍となっていますが、完了までかかる時間は半分にはなりません。つまりピクミンの作業時間1分あたりの量は減ることになります。作業量を減らしたとしても、完了を早めたいシーンもあるので、どちらを選ぶかはリーダーの判断にかかっています。

タスクに取り掛かるチームの人数によって不可能なことが可能になること、鈍い曲線で効率が上がることは、現実でも似たような結果になります。

8.見える化しておかないと大変なことになる

100人もいるチームのリーダーになると、よく2,3人見失います。見失った状態で夜を迎えてると、ピクミンは死んでしまいます。

そんな事態を避けるためか、主人公は「チームは何人いて、声が届く範囲に何人いるか」と「ピクミンの位置」を把握できる端末を持っていて、見える化しています。そのおかげで、夕方になると声が届く範囲にチーム全員が声が届く範囲にいるか確認でき、はぐれたピクミンを探し出すことができるので、死んでしまうという最悪の事態を避けられます。

9.リーダーは何もしていない、でも忙しい

リーダーは物を運ばない、敵と戦わない、道を作らないと、手をまったく動かしません。やっているのは「指示を出す」ことだけです。それでもピクミンたちを指揮していると、とにかく忙しいことに気づくと思います。

現実でもリーダーとしての仕事は時間を食います。手を動かせる人として自分をカウントしてしまうと危険です。リーダーは基本的には無力であり、なにか直接作業に手を動かすとしても前述の安全マージンとして使うくらいがちょうどいいのではないかと思います。

まとめ

プロジェクトのリーダーやマネージャとしてのスキルは、学びづらいものです。実践練習する機会が無く、座学の次は「補佐から」「まずは小さいプロジェクトから」と役割は小さいながらもいきなり本番が始まります。なので、ポストが空いていないと体験する機会が全くない可能性すらあります。たとえプロジェクトリーダーとしての役割を得たとしても、1回のプロジェクトは通常半年~1年かかるので、10年で10回程度しかトライアンドエラーすることができません。

冒頭に書いたように、ゲームと現実は異なります。リーダーとしての仕事をすべては体験できないものですが、違うことによるメリットもあります。まずプロジェクトリーダーに任命されなくとも、一部分のみを体験することができます。また、1回の期間が数十時間ほどと、現実の百分の一程度の時間で結果がわかり、同じ状況を何度も繰り返すことができます。そして他の座学と違い、ゲームなのでリアルタイムに管理する体験ができます。

いろんな御託を並べましたが結局のところ一番言いたいことは、ピクミンシリーズはすごく面白いです!まだやったことがない方は、ぜひ遊んでみてください。

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